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完全ワイヤレスイヤホンなど Bluetooth オーディオ製品の普及に伴い、
「 SBC は音が悪い」
「 aptX に対応してないからだめ」
「 SBC だけど音が悪くない」
といったレビューや口コミを見るようになりました。
クーバ
けも
そんなわけで本記事では「 SBC は音質悪い」問題に関しては思うところをまとめてみました。
SBC とは
SBC とは Sub Band Codec の略で、Bluetooth オーディオの標準コーデックです。ちなみにコーデックは圧縮方式のこと。
標準コーデックというだけあり、Bluetooth オーディオを搭載した製品であれば原則必ず対応しています。今のところ SBC 非対応の製品は見たことないですね。
スペックからみる「SBCは音質悪くない」
スペック的に見ても SBC の音質は悪くないことがわかります。
- サンプリング周波数:16bit / 48kHz
- ビットレート:約 328kbps(※諸説あり)
SBC のサンプリング周波数は CD 相当、ビットレートも音楽配信サービスの高音質設定と同等のスペックです。このスペックの音源を聴いたところで「明らかに音が悪い」と感じることは少ないと思います。
ではなぜ SBC は音が悪いと言われてしまうのか?
昔の認識が残ってるだけ
「 SBC の音質は悪い」と言われてしまう理由は「昔は Bluetooth オーディオ全体の音質が今ほど良くなく、そのときは SBC しかなかった。その認識が残ってるだけ。」なんじゃないかと個人的には思います。
Bluetooth ヘッドホンやスピーカーが普及し始めの頃は SBC のみ対応 ( 良くて SBC と AAC 対応)みたいな製品が多くて、とくに低価格帯の製品はあまり音質が良くなく「やっぱりワイヤレスは音良くないな」とがっかりすることが多かったです。
そんな中「 Bluetooth なのにめっちゃ音良いじゃん!」という原体験を得られた製品が BOSE の SoundLink Mini(初代)です。
この製品はいわゆるポータブルワイヤレススピーカーで、小型ながら迫力のある重低音に一目惚れしたのを覚えています。しかし対応コーデックは SBC のみ。
SBC でも音が悪くない理由は何かな?と考えたところ、定番の「 BOSE 独自技術」という謎技術が怪しい。まぁ雑に言えば「圧縮音源をきれいに戻す技術」のことでしょう。
今はこの「圧縮音源をきれいに戻す技術」が Bluetooth チップの進化に伴い多くの製品に実装されており、aptX や aptX HDといった新しいコーデックにも対応するようになり、そもそも SBC で接続することがなくなった。
そして一部の人が SBC しかなかった頃を思い出し「 SBC は音が悪い」「aptXだから高音質」と言っているだけではないのか?というのが私の仮説です。
これを書いてて「 Android は動作が不安定で電池持ちが悪い」説も同じ構造なんじゃないかと思い当たりました。
Pixel や Galaxy など、今でこそ iPhone を凌駕するハイスペックな Android 端末に溢れているものの、昔の Android は低価格がウリでスペックもそこそこなモデルも多かったため、アプリが落ちたりバッテリー持ちが悪かったりしたんですよね。
一方 iPhone は基本 7 万〜 10 万円。Android からしたら全モデル高級機で、サクサク動いて当然です。
つまり、低価格 Android で痛い目を見たユーザーが iPhone に乗り換えてサクサク動作を体感し「 Android はよろしくない」といった口コミを投稿したのが広まってしまったのではなかろうか?という説です。
私も iPhone 12 mini を愛用していますが、同価格帯の Android スマホは iPhone 以上のものが沢山あり魅力的だと思っています。オーディオ好きとしてはイヤホンジャックや USB-C ポートも見逃せませんしね。
スペックの気にしすぎも良くない
そもそも日本が家電大国であることも影響していると思いますが、我々はスペックを気にし過ぎなのかもしれませんね。
もちろん海外にもガジェットにスペックを求める層が多く存在するのは知っていますが( SONY 人気が根強いように)、日本ではスペック比較するのがもはや一般化しているようです。
それを実感したのがギズモード・ジャパンの「完全ワイヤレスイヤホンメーカー5社に聞く「ライバル製品どうですか?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい! 」という記事。
記事中で Bang & Olufsen のマーケティング担当者が話していたエピソードが印象的でした。
デンマーク本社の人間が日本に来たときに東京の家電量販店に行ったんですが、イヤホンコーナーに展示してあるスペック比較表に驚いていました。コンシューマー向けの表なのにマニアックすぎないか?って。全世界でここまで消費者がスペックに対して知識があるのは日本だけだと。やっぱり家電大国なんだなと、みんなビックリして帰ります。
引用元:完全ワイヤレスイヤホンメーカー5社に聞く「ライバル製品どうですか?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい! | ギズモード・ジャパン
言われてみれば確かに家電量販店のあの情報量に溢れた光景というのは日本ならではなのかもしれません。ヨーロッパで洗濯機や空気清浄機の横に機能比較表がバーンと展示されてるのは想像できません(あったらスミマセン)。
上記のコメントのあと、
いっぽうで、スペックだけがすべてじゃないっていう思いがあって。音響心理学などの側面もあっての音だと思っているので、そこはいつもバランスが難しいなと感じています。
引用元:完全ワイヤレスイヤホンメーカー5社に聞く「ライバル製品どうですか?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい! | ギズモード・ジャパン
という発言があり、特にワイヤレス製品は限られた条件の中で自社が目指す音をいかに実現するかがキモなのだなと感じました。
単純にスペックで音が決まるならハイスペックな部品を揃えたもん勝ちになっちゃいますからね。たまに低価格でめちゃくちゃ音の良い製品が登場したりするのがオーディオの面白いところでもあります。
まとめ:SBC だからといって音質が悪いわけではない
本記事は、素人が聴感上の印象や経験から「 SBC だからといって音が悪いわけではないぞ!」と主張した記事です。
この件に関してより深く知りたいという方は、藤本健さんが検証している記事があるのでそちらを参照してください。
参考:【藤本健のDigital Audio Laboratory】BluetoothのaptX音質を再び検証。SBCとの違いを波形で比べた-AV Watch
記事ではウォークマンから SBC / aptX で Bluetooth レシーバーに飛ばした音源をデジタルキャプチャして検証した結果がまとめられています。結果として aptX の方が良い成績を収めた一方、SBC も決して音質が悪いわけではないことがわかったようです。
そんなわけで「 SBC だからといって音質が悪いわけではない」「 aptX だからといって音質が良いとは限らない」と言いたいだけの記事でした。
けも
Bluetooth オーディオの導入を考えています。オーディオは常にスペックの良いものが良いという人がいて、惑わされてしまいますが、自分は普通に高音質だなあと思える程度で満足できると思っています。APTX HDとかLDACとか、高スペック規格に対応していれば困らないですが、SBCにしか対応していない場合も多く、迷っていましたが、記事がとても役に立ちました。
じゅんぱさん
コメントありがとうございます!お役に立てたようで良かったです!
オーディオはスペックだけじゃないところが面白いですよね!